逃げるは恥だが役に立つ
2018-01-06


明けましておめでとうございます。( 〓〓〓 )

今年もよろしくお願いします。

今年はいぬの年で、干支では戊戌の年だそうです。そこで、副題は、戊戌夜話となるべきでしょうが、読み難いし、語呂が悪いから、丁酉の年から始めたという意味で、そのまま丁酉夜話とします。

人気マンガが原作のテレビ・ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』([URL])というのがあり、年始の深夜時間帯にテレビのスイッチを入れるとたまたま放映されていて、つい見てしまいました。星野源が主役の一人で主題歌の「恋」は大ヒットしましたね。サビの部分は、次のような歌詞です。

「距離の中にある鼓動
恋をしたの貴方の
指の混ざり 頬の香り
夫婦を超えてゆけ
二人を超えてゆけ
一人を超えてゆけ」

筆者もたまに歌いますが、カラオケの定番化したみたいです。

ドラマの方は、時給計算で家事代行サービスを行なっていた(院卒無職の)女性に対して、依頼者の独身男性が「就職という意味で結婚するのはどうですか?」 という提案をします。そうして開始される「契約結婚」がテーマとなっています。そして、主人公達が、周囲には秘密にしながら結婚生活を始めるのです。これだけだと、普通の結婚とどう違うの?という疑問を抱きそうです。

女性にとって、結婚が就職と同列だというのはそんなに抵抗がありますか? 確かに、恐らく最終的な、永久就職ではあるのでしょう。

結婚すると、夫婦になる。つまり、元々は他人だった二人が、夫婦共同体を形成するということです。このドラマでは、キャリアを目指した女性が挫折して、「妻」という身分を得ることになるのですが、むしろ雇用主=夫、従業員=妻という、法的な意味での労働契約を締結しようという発想が奇想天外で面白いのです。

妻の家事労働の対価を時給計算して、夫名義の家の(妻が間借りしている)家賃や経費を差し引いた上で、夫が、残額を給料として支払うというわけです。恋愛を必然とする結婚もあれば、お見合いで気が合えば、むしろお互いの打算から結婚するということもあるかもしれません。

なぜ、結婚が必要なのでしょう?

古い時代といっても、日本でも、その他の先進国でも、ほんの一昔前まで、女性の社会進出は異例のこととされ、男性が「家」の外=社会で仕事に就き、食い扶持を稼ぐものであり、女性は家内労働に従事して生活するものだとされていました。これが社会規範でした。その国の産業や経済的発展の在り方から、最も多くの人がより良く生きていける方法が、規範化ないし制度化されるとも考えられます。

そして、夫婦の共同体が、一対一の人と人との結びつきを前提として成立し、やがて子が産まれると(産まれない場合もあるでしょうが)、この一つの「家族」が社会に存在する共同体の最小の単位となります。それが親兄弟の集まりから、親族共同体を形成する場合もあれば、個々の核家族の集合体である場合もあるでしょう。その全体集合がその社会=国の共同体です。

夫婦→家族(子の誕生)が必然化されるのは、その社会における人類としての「種」の保存本能を基底として、無意識化に社会規範とされるからかもしれません。現在の日本では、経済発展のおかげで、かつてのように人々が食うに困るということが例外的なこととなり、女性の社会進出も進みました。女性は、専業的に家事労働に従事しなくても、食っていけるのです。そして、一般的に個人の選択の自由が重視されるようになると、上述の社会規範の規範意識も希薄になってきました。

それにしても、今でもそのような社会規範に縛られるという側面もあるのあかもしれません。女性にだけ、「お局様」や「行き遅れ」、「出戻り」などのレッテルを貼って蔑む傾向が根強く残る場面もありそうではあります。男の方にも、適齢期を過ぎてくると、親族などの所属集団内で、「結婚はまだか」コールが煩く聞こえてくる

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プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


Twitter@eddyfour3



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