代理母と社会的合意1
2018-02-10


今日は、近くのタイ料理専門店でトムヤムクンとエビすり身の揚げ物を食べてきました。この辺りでは古くからある有名店ですが、そんなに高くなくて、美味いです。シェフがタイ人です。

生殖補助医療と社会的合意について、二回目です。

1、代理母

日本生殖医学会のホームページには、一般の人向けに、生殖補助医療の種類が説明されていますし、学会としての声明・ガイドラインが掲載されています。
[URL]

試験官内で卵子を受精させた受精卵を母胎内に移植する不妊治療は一般的に行われていますが、更に、夫婦である男女間の卵子および精子による受精卵を用いる場合、夫婦の片方のみの卵子または精子と、他人の精子または卵子を受精させた受精卵を、妻たる女性に移植する場合、両親となる男女または母または父となるべき男女の卵子と精子による受精卵を、その男女とは無関係の他人に移植する場合などが考えられます。この最後の場合が代理母による方法です。また、借り腹と言われたりします。

今回の題材は代理母です。

健康な女性に頼んで、体外受精した受精卵によって、子供を産んでもらう方法で、法律上禁じられていません。前々回に述べたように、クローン胚の子宮への移植のみが法律で禁止されており、代理母の方法は、日本産科婦人科学会の会告によって禁じられているだけです。これは会員向けルールに過ぎません。そこで従わない医師もいるようです。しかし、代理母については、日本では実施されることが少ないとも言われています。

2、インド代理出産

週刊朝日の記事(2008年8月29日号)が元ネタです。独身の男性医師がインドで代理母に依頼して、自らの遺伝的繋がりのある子供を授かろうとしたという記事です。インド人女性と代理母契約を締結したのですが、卵子提供者はネパール人だそうです。婚姻関係のない女性の卵子を用いて受精卵を作り、やはり婚姻関係のない女性に代理母を依頼したのです。エージェントととなるインド人医師が仲介していました。代理母となった女性はそのお金で家を建てると言っていたそうです。

少し古い情報になりますが、上記の記事によると、インドの代理出産ビジネスは、2000年頃から盛んになり、2005年には、500億円市場になり、年々増加していました。代理母の謝礼が平均2800ドル〜5600ドルなので、インド(当時)の年間平均所得、約980ドルに比べて相当の高額です。インド人女性は、麻薬や飲酒、タバコの弊害が少ないため、人気があるのだそうです。

顧客は欧米人が中心であるというのですが、このような人達は、子を母胎内で生育してくれる若くて健康な母体を求めて、遥々海を渡るのですね。

日本人医師である依頼者が父親となるつもりだったのでが、インドの戸籍上、生まれた子の父母の欄が空欄となっていたようです。卵子提供者および代理母となった女性は匿名が条件であり、独身である男性はインド法上、養子縁組も許されないからです。そのため、子供の国籍がはっきりしない状態となってしまいます。

父親となろうとした男性は、一刻も早く子供を日本に連れて帰りたかったのでが、パスポートの取得が困難です。また、インド国内で福祉団体がこのことを人身売買であるとして、裁判所に人身保護命令を求める騒ぎになりました。インドの代理母契約では、このような出国トラブルがよくあるそうです。

男性は離婚経験者であり、子供ももうけたのですが、離婚後は子供とも会えていない、とのことでした。欧米では離婚時に父母が子の共同親権を取得することや、離婚後も、普段は養育していない方の親の面接交渉権が保障されること国も多いです。しかし、日本法は単独親権であるため、離婚後は、養育しない方の親が、実際上、実子に二度と会えないということも多いようです。


続きを読む

[世間]
[法]

コメント(全0件)
コメントをする


プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


Twitter@eddyfour3



記事を書く
powered by ASAHIネット