大震災のトモダチ作戦と安全保障
2018-03-12


少し暖かくなって来ました。もうすぐ、沈丁花が香るでしょう。待ち遠しいですね。暖かくなったら、奥道後の露天風呂に行こうと、今から楽しみです。自転車で20分ほど走って、山道を登ると、全国的にも有名な奥道後の温泉に着きます。古い日本映画に、森繁久弥の社長シリーズという喜劇映画の連作があります。渥美清の寅さんシリーズがよく知られていますが、この映画も日本各地を舞台にしていました。その中の一作に、奥道後の露天風呂が出てきます。里山を背景にして、直ぐ側に小川が流れる、広々とした露天風呂に、白い湯気と硫黄の匂いが立ち込めています。秋には、山肌の紅葉がきれいで、前述の映画も、この季節の様子をとらえたものでした。春の優しい木々の色合いも良いものです。

ところで、この週末は出張です。大体、毎週末、更新しているのですが、一回お休みします。

1、トモダチ作戦

トモダチ作戦―米兵はシャワーすら浴びなかった
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(日経ビジネス2015年3月10日の記事)

トモダチ作戦とは、東日本大震災でアメリカ軍が日本救済のために発動した一連のプログラムのことです。上の記事は、当時の自衛隊一等陸佐 笠松誠氏のインタビューを掲載したものです。次に、要点をまとめてみます。

2011年3月11日の東日本大震災のとき、被災地であらゆるものが壊れ、物流も機能せず、陸路では救援物資も被災者の下に届けられませんでした。空路だけが頼りだっときに、米軍が駆けつけて、仙台空港を迅速に復旧することができました。わずか1カ月で民間航空機の離着陸が可能となりました。同氏は、空港が「海に死んだかのように冠水し、悲惨な状況を呈していた」空港を見て、復旧に半年はかかると考えたそうです。

しかし、米軍が、空港のないところに空港を造る特殊作戦のエキスパートであり、臨時の航空管制機能を設置する技術を有している専門部隊を派遣してくれ、海兵隊は保有する重機を使って、重労働に従事したといいます。シャワーもかぶらず、髭も剃らないで、働いたそうです。

事実上の日米安保条約発動と言われた。

というのは、米軍が、直ちに1万6000人の人員と約20隻の艦艇、約40機の航空機を動員したからです。

自衛隊による国際緊急援助活動隊の派遣は、中米のホンジュラスが1998年にハリケーンに襲われたときに始まり、その後、2005年パキスタン大地震、2010年、ハイチでの国際緊急援助の活動へと継続しました。そして、2013年にフィリピンを襲った台風に対しては、自衛隊と米軍が緊密に協力したそうです。

同氏は、このような日米の人道支援、災害救助活動の枠組みがアジア太平洋地域における、多国間協力の枠組みに発展しつつあることを説明しています。フィリピンの多国間調整所に参加したのが、フィリピンのほか、日本、アメリカ、オーストラリア、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、韓国、英国、スペイン、カナダ、イスラエルでした。

まさに国際救助隊の面目躍如です。多国間の協力体制が構築されるなら、日本がその中心的役割を果たすべきであるようにも思われます。

しかし、同氏は、次のように言います。中国の台頭を受けて、災害対策を通じて築いた多国間調整メカニズムが有事の際に役立つという意味で、アジアでの多国間安全保障体制に通じる可能性がある、と。

同氏のインタビュー全体を通じて、どうも、中国とロシアが仮想敵国として想定されているようです。災害時に、これらの国々に、日本やアジアの第三国が付け込まれないように、日米の「軍隊」の強固な関係を示すという観点、更に、これらの国々を仮想敵として想定した?、将来的な多国間安全保障体制の構築が目標であるようにも感じられます。NATOのような米国を中心とした軍事同盟が目指されるのでしょうか。そのとき、日本は、まさに集団的防衛権を「行使できる」のかもしれません。

2、安全保障


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[政治]

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プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


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