木蓮のつぼみ(再掲)
2022-05-24


14才だった少年Aもそろそろ40才になります。

「神戸連続児童殺傷事件から25年 少年Aまもなく40歳に 途絶えた手紙 遺族が願う贖罪は果たさず」
[URL]

2018年02月03日に掲載したブログ記事を再掲します。以下、そのときのブログ、ほぼそのままです。

ココから。↓

以前のブログで「相田みつを美術館」のことを述べました。ちょうど2月頃の木蓮をうたった詩があります。美術館で、この書を展示していました。次の様な詩です。


「裸の木蓮」

「いま庭の木蓮は裸です
 枯葉一枚枝に残しておりません
 余分なものはみんな落として
 完全な裸です

   しかしよく見ると
   それぞれの枝の先に
   固い蕾(つぼみ)を一ツづつ
   持っています

 つまり木蓮にとって
 一番大事なもの
 ただ一ツをしっかり と
 守りながら

冬の天を仰いで
キゼンと立っています
 キゼンということばを
 独占したかのように
   裸の木蓮は
 寒風の中に
 ただ黙って立っています

   みつを  」


 書では、一つ一つの段落がつぼみの形にみえます。墨の濃淡と造形で詩を表現しています。皆さんも、機会があれば見に行って下さい。東京駅の直ぐそばです。

 私は木蓮が好きです。淡い黄みどり色の中心から、やわらかな厚紙のような白い花弁が、「もくれん」という言葉にふさわしい花です。

 暖かな風を連れて来る冷たい雨の後の晴れ間に、沈丁花が香ります。歩いていると、不意に良い香。どこにあるのか思わず周囲を見回して、花の在処を探します。沈丁花が香ると、いよいよ暖かな春の到来です。

 間もなく、木蓮が咲きます。待ちに待った木蓮です。白色の、濃い紫の。
 ほんとうに木蓮が待ち遠しい。


1、酒鬼薔薇聖斗

 ここから、本題です。

 神戸連続児童殺傷事件を覚えていますか?

 酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)と名乗る犯人が、小学生を通り魔的に殺傷したあの事件です。特に、特殊学級に通う小学6年生の子供の命を奪い、頭部を切り落として、中学校の正門前に置いていたことで、社会を震撼させました。その犯人は、少年Aと呼ばれた14才の中学生でした。

 被害者加害者双方の当事者からの手記が公表されています。

 被害者の父親の書いた手記です。
 『淳』 (新潮文庫) ・土師 守 (著)

 あどけない少年の様子が表紙に載っています。残忍な犯行に対して憎悪を掻き立てます。

 その日、いつもと変わらない様子で家を出た子は知的障害のある子でした。家族がどんなに大切にして、愛おしんでいたか。

 元少年Aは少年院を退院した後、『絶歌』(太田出版)という手記を発表しています(2015年)。

 加害少年の父母の手記も刊行されました。『少年A」この子を生んで……―父と母悔恨の手記』 (文春文庫)

 少年院で、加害少年の矯正に取り組んだ元法務教官の記録も公刊されています。

 事件直後に、加害少年は実名や写真のほか、刑事事件における供述調書の内容を雑誌に公開されました。今現在に至るまで、居住地や最近の雑誌社の取材の様子など多くの情報が、虚偽のものを含めてネット上に掲載されています。

 成人した加害者が日本の社会でどのように暮らしていけるのでしょうか。名前を変えたり、もしかすると整形しないといけないかもしれませんね。

2,刑罰の目的と国家による社会の管理

 犯罪を犯すと、刑罰や処分が下されます。犯罪者(非行少年)の矯正や更生がその目的であると考えるのが、わが国の刑法学上の多数説です。教育刑という考え方です。


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プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


Twitter@eddyfour3



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