年末に思うこと
2017-12-29


以前のブログでは、日本の文化伝統の規制緩和が必要だと主張しました。上のような伝統的な習俗、習慣や、価値観の一切を捨てるべきだといっているのではありません。新しい家族の形がどのようなものであれ、家族として、その国、民族や地域の文化や風習を守ることができるでしょう。家族の形が旧来のものと異なっても良いことと、文化的伝統を破壊することとは別次元の問題です。

例えば、個人の信条や人格として、セクシャル・マイノリティーであることが、伝統的価値や保守的思考様式と相容れないとしても、それだけで排斥されてはならない。そのような自由の領域を確保しながら、新しい価値観と伝統的な家族観が融合し、新しい家族の形が生まれることを妨害しない必要があるでしょう。

このことは、全ての人々が、同じ価値観、新しい価値観を持つべきだというのではありません。異なるものの考え方を、私的な領域に留まる限りは許容するべきだと言うのです。自分とは何らかの点で異なる人が隣にいることを認めるだけで良いのです。

その自由を妨げるような法規制が、多数者には気付かずに、存在します。そういう法規制の緩和が必要だというわけです。

家族という共同体が、妻・母は家を守り、夫・父は外で働き、一家のために稼ぐという、大時代的な考え方も一部にはまだ残されているようです。しかし、女性労働力の活用が、日本の死活問題となってきたので、女性の社会進出を推し進める政策を政府がとっていて、いよいよ夫婦共働きの世帯が増えてきたのです。少子化対策としても、保育所の確保が叫ばれて久しいですね。

選択的夫婦別姓の制度も、もう何十年も議論されていますが、未だに実現されません。夫の姓を名乗りたい夫婦にはそれも可能だというのに。

法律上の婚姻が男女間に限定して許容されているとする考え方は、先進諸国の中では、もう珍しい方になりつつあります。同性婚も、一つの家族の形であり得るのでしょう。

時代とともに、社会の通念も変わり得ます。しかし、「社会通念」を探求するということは、そのときの「社会通念」がいかなるものかを突き止めない限り、胎動する新しい価値は一切認めないとすることです。社会の進展を押し留める方向に作用します。

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プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


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