コロナウイルスのために、日本中、大変な状況となっていますね。私の所属する学会も、今年の研究大会が軒並み中止か延期になってしまいました。実は、父が施設に入所しているのですが、コロナウイルスに対する予防策として、家族の面会も制限されています。日本全国の認知症のお年寄りが、事情をよく飲み込めないまま、長い間、家族にも逢えず、悲しんでいるかと思うと、慨嘆に堪えません。
さて、
日本中の大学で、様々なハラスメント事件が裁判になっています。全国国公私立大学事件情報
[URL] 参照。このページについては、明治学院事件の原告である寄川条路教授からの情報提供に基づいています。明治学院事件については、
[URL] 参照。多数の著作も公にされています。
今日は、大学の自治とハラスメンの問題を取り上げます。ついでに、国立大学で生じている改革という名のリストラについてもお話ししておきます。
1、学校教育法の改正と大学ガバナンスの改革
2015年学校教育法の改正により、国立大学においても大学ガバナンス改革の名目により、法文上は学長権限が強化されました。もっとも、大学にもよるでしょうが、現在の実務も、学長単独で決定し、上意下達によって大学が運営されるというには程遠いものです。相変わらず、大学本部が大まかな指針を各部局に伝え、その下での各部局ごとの具体的な決定を、本部が尊重するという方法によっており、各部局の決定こそが重要です。しかし、大きく変わったとも思われるのは、教授会権限が縮小したと感じられることです。
学校教育法が改正されたことは旧聞に属しますがが、少々説明をしておきます。学校教育法(法律第二十六号)は昭和22年に成立した古い法律です。2015年改正に際して、文科省の担当課長(里見大学振興課長)が平成26年9月2日に行った「学校教育法及び国立大学法人法等の改正に関する実務説明会」というのがあります。文科省のHPに掲載されていたその記録によると、教授会が、教育研究に関する審議機関であり、大学の経営に関わるものではないこと、また審議機関であり決定機関ではないこと、あくまでも学長が決定機関であることを強調する法改正でした。もともと教授会権限について、教育公務員特例法という法律に規定されており、これに基づき、各国立大学において、重要事項を教授会が決定する運用がなされていたのです。しかし、国立大学が独立行政法人となった結果、大学の教職員が公務員ではなくなったので(もっとも身分保障のある準公務員として扱うという説明がなされています)、教育公務員特例法の適用がなくなりました。教育公務員特例法が適用されないのに、多くの大学における教授会運用の実務は、慣例的に従前のままとされていたので、この学校教育法の改正により、教授会権限が限定されることを、明確化したのです。特に教員の人事に関する決定権が学長に帰属することを明確にしました。
プロフィール

職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ
ちなみに、ゲイではありあせん。
同じ筆者のホームページ
「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/
「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html
Twitter@eddyfour3
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