前回のブログでは、同じ論題で、リベラルに蔓延る非犯罪化の教条主義とフェミニズムの教条主義のいずれも誤りであることを指摘しました。今回はその続編として、本多議員の発言の問題を具体的に検討します。
私は刑法の専門家ではありません。必ずしも刑法学者と同じ視覚からの議論ではないので、一般の方に分かりやすく、面白いかもしれません。
「50代の私が、14才の女性と恋愛に落ちることを、犯罪として良いか」という趣旨の発言を巡り、立憲民主党の執行部が、議員本人の趣旨説明と陳謝を受け入れず、党の懲戒委員会に懲戒処分の諮問を行いました。本多議員は、中年男性から未成年の女性に向けられる視線といった類いの問題ではなく、刑法改正の議論において、実感を持って非犯罪化の方向で議論したかったとしています。
次回総選挙における党の公認内定取消し、更に、1年間の党員資格停止の処分を下すということです。本年秋に予定される次回選挙での当選が見通せない限り、議員生命を断つというほどの重い処分です。新聞記事によると、幹部らが本人に「出処進退を明らかにする」ことを迫ったにも関わらず、本人が受け入れなかったため、処分に踏み切ったようです。
衆議院議員本多平直氏の公式サイト (
[URL])
朝日新聞の記事「立憲、本多氏の公認内定取り消しへ 性交同意巡る発言で」(
[URL])。
弁護士を含む第三者を委員とする「ハラスメント防止対策委員会」というのは、党内および党周辺におけるハラスメント案件について、告発を含めて対策を行うための、党から独立した常設の委員会であるとされています。同委員会から、この問題についての調査報告書が発出されました。
調査報告書をまとめた委員会の委員長が労働ジャーナリストの金子雅臣氏(一般社団法人職場のハラスメント研究所所長)です。調査報告書は長文であり、独特の専門的用語を用いた難解なものですが、簡単には、次の毎日新聞の記事で概要を知ることができます。また、立憲民主党幹事長の記者会見で、調査報告書の内容がやや詳細に紹介されており、これを受けた処分について説明されています。
毎日新聞の記事「本多平直氏「同意性交」発言 立憲、調査報告書で言動を強く批判」(
[URL])
立憲民主党「福山哲郎幹事長記者会見2021年7月13日(火)」(
[URL])
なお、立憲民主党プレスリリース「「誠心誠意、実現をしていきたい」ハラスメント防止対策委員会「調査報告書」を受けて、福山幹事長」 (
[URL])。
1,認知の歪みとされるものと、本多議員の失言の関係
まず、日本の文化の中には、男性支配の構造が今なお厳然として存在しています。「男が外で働き、女が家を守るという分業の発想」が、多くの仕事の場において、職員数や権限の質的な差を生んでいます。女子差別撤廃条約への加入を受けて、男女雇用機会均等法が制定されても、もちろん社会的発展の胎動が基底として存在したには違いないとしても、法の制定だけでは、文化というものはそう簡単に変わるものではありません。
プロフィール

職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ
ちなみに、ゲイではありあせん。
同じ筆者のホームページ
「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/
「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html
Twitter@eddyfour3
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