先日、国際連合総会でなされた安倍総理の演説で、日本が自由貿易の旗手であり続けることを宣明し、自由貿易主義が国際的格差の是正に貢献することに言及されました。今日のブログは、この問題を扱います。結論からお話しすると、筆者は、この考え方に賛成します。
国際的格差是正と自由貿易
国際的格差
世界の最富裕国から最貧国まで、どの程度の 経済格差があるのでしょう。国際機関が 公表している統計に従い比較してみます。IMF(国際通貨基金)の統計によると、2018年の国別GDPの上位3カ国はアメリカ、中国、日本で、アメリカ約20兆5000億USドル、中国が約13兆4000億USドル、日本が約4兆9800億USドルです。最下位までの3カ国が191位キリバス約19億USドル、192位ナウル約12億USドル、193位ツバル約4億5000万USドル です。
また、世界銀行の統計によると、2018年の国別購買力平価(PPP)一人当たりGNI(国民総所得)で、上位三カ国がカタール、マカオ、シンガポールであり、1位のカタールが124,130ドルです。ちなみに、2017年の統計で、日本が40,343.1ドル、アメリカが55,350.5ドルです。GNI(国民総所得)というのは、GDPに海外からの所得の純受取額を反映させた指標です。今日、外国に投資をしたり、金融資産を保有することが特に先進国では一般的です。外国に保有する富を反映させないと、正確に経済力の比較をすることができません。為替レートの影響を受けないように調整して、GNIを各国の人口で割ったものが一人当たりの購買力平価です。下位の三国がコンゴ民主共和国、中央アフリカ、ブルンジのアフリカの 国々です。最下位であるブルンジが688.8ドル(2016年)となっています。1ドルが110円として、大雑把に換算すると、日本人の年間購買力の平均が4,43万7,741円であるのに対して、ブルンジの国民は7万5,768円ということになります。一月6,314円で生活している計算になります。
世界全体のGDPの約8割がG20参加国に集中し、約5割をG7参加国が占めます。(
[URL])世界における富の偏在は明らかです。
国際機関における各国の投票権はどの国も平等に一国一票であることが原則ですが、IMFだけは異なります。IMFには、多様な役割がありますが、重要な役割の一つが国家のための銀行となる国際機関であることです。各国が拠出した資金をプールしておき、国際収支に問題を生じたときに加盟国が資金を引き出すことができます。経済が行き詰まって国の債務が返済不能となる国家破産の場合に、国や国際機関及び民間の債権者と債務者である国とを仲介して、債務の免除や繰延べを行わせたり、巨額の資金を貸し付けたりします。このIMFの投票権は、拠出した資金量に応じて各国に割り当てられています。IMFのホームページをみると(IMF Members' Quotas and Voting Power, and IMF Board of Governors,Last Updated: September 29, 2019,
[URL])、現在の所、アメリカが17.46%で一番議決権の割合が大きく、日本は6.48%、中国が6.41%です。今のところ、日本が2番目ですが、出資割当ての見直しが始まっており、国の経済規模を反映するので、中国に抜かれそうな情勢となっています。前述したブルンジは、0.03%、南太平洋の小国ツバルの議決権が最も小さく、0.001%です。189カ国が加盟するIMFの全議決権を100%としたときの割合です。
プロフィール

職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ
ちなみに、ゲイではありあせん。
同じ筆者のホームページ
「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/
「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html
Twitter@eddyfour3
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