単純労働力の受け入れ
2018-06-23


しばらくぶりで、更新しました。また、よろしくお願いします。

少し前に、大阪に帰省して驚いたことがあります。通天閣の側に串カツの専門店街が広がっています。観光客の集まる名所の一つです。夜8時過ぎ頃に、久しぶりにそのような串カツ屋に入ったのです。テーブルに座って待っていても、誰も注文を取りに来ません。お茶か水さえ、持ってこないのです。

店員がいなかった訳ではありません。5〜6人の店員が輪になって、談笑している様子なのです。こちらから店員らの顔を見てアピールしたのですが、誰も来ません。大声で呼びかけると、ようやく若い女性店員が不機嫌な顔をして、水を持ってきました。

その店員らはみな中国語を話していたのです。

そして、女店員は厨房の中に、私の注文を告げると、今度は、厨房の中にいる調理師らと中国語で喋り始めたではありませんか。

この店は、この時間帯は、フロアも厨房も、中国人が働いていたのですね。サービスや料理も、おもてなしを大切にする日本流ではなく、どこか北京風でした。このような店を、中国人観光客が喜んで訪れるのでしょうか。

断っておきますが、私は中国の人に偏見があるのではありません。実際にあったエピソードですので、今回ブログの前置きにちょうど良いかと思います。


1、単純労働の受け入れへ−政策転換!

安倍首相が、6月5日に、外国人の単純労働者を受け入れる方針を発表しました。
2019年4月に、建設、介護、農業など5分野で在留資格を新設し、最長5年の就労を認めるとうもので、2025年ごろまでに、50万人超の新たな外国人の受入れを行うそうです。早速、財界が歓迎の意向を表明しました。

これは経済財政諮問会議に提出された、「経済財政運営と改革の基本方針2018(仮称)」の中で、示されています。

移民政策とは異なる外国人材の受け入れであることが強調されています。これによると在留期間の上限を5年として、家族の帯同も基本的に認められません。

ここまでであれば、後で言及する従来の技能実習制度と変わりません。昨年(2017年11月)施行された新制度により、技能実習の在留期間が最長5年間(従来3年間)となり、人数枠が二倍程度に増加されています(厚労省HPより)。また、介護職としての、技能実習が新設されました。

新設される在留資格では、在留中に一定の試験に合格するなど、高い専門性や技能を示した外国人に対して、現行の他の在留資格への変更が可能とされます。


2、在留資格

外国人は、一定の在留資格に基づき、定められた在留期間を上限に、日本に居住することを許可されます。

参考:入国管理局HP(在留資格一覧表)[URL]

例えば、大学で教鞭をとる外国人の先生達がいますね。この人達は「教授」という資格を有していて、在留期間が最長5年間です。また、「技能」という資格は、特殊分野の熟練した技能を有して、わが国でそのような仕事をしている外国人達に与えられます。例えば、中華料理やフランス料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者などです。サッカーの元日本代表監督のハリルホジッチ氏は解任されましたが、恐らく技能の資格で日本で就労していたと思われます。航空機の熟練パイロットは年中人出不足の状態で、外国人パイロットが国内航空便の航空機に搭乗するところをよく見かけます。この資格も最長5年間の在留が許されます。日本で活躍するダンサーは、「興行」という資格で、キリスト教の宣教師は「宗教」という資格で、わが国で活動しています。その他、多くの資格があります。

それぞれの資格毎に日本で就ける職種が決まっています。資格外活動を行うと不法滞在者となり、日本から強制退去されることになります。


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プロフィール


職業:大学教員
専門分野:国際関係法・抵触法
専攻:国際取引法及び国際経済法
  簡単に言うと、貿易を行う企業が他国の企業と訴訟を行う場合の法律問題です。また、WTOや経済連携協定の内容、EUのような国家連合、アメリカ合衆国の通商法について興味を持っており、大学で講義をしています。
1959年生まれ

ちなみに、ゲイではありあせん。

同じ筆者のホームページ

「寡黙な国際関係法」(大学の授業用HP)
http://www.geocities.jp/gnmdp323/

「裁判のレトリックと真相」
筆者が原告となった裁判を通じて、裁判制度の問題を扱っています。
http://www.asahi-net.or.jp/~aj9s-fw/index.html


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